ある日、保育園で祖父母の話を聞いた夜、両親に聞いた。


二人がもうしわけなさそうな顔をしたのは、その日が最初で最後だった。


その顔は今でも忘れられない。



「ごめんね、凛。ごめん」


「凛にはじいちゃんもばあちゃんもいねーけど、その分お父さんたちが凛のこと、大好きだからな!」


「そうよ。凛は、あたしたちの宝物なんだから」



苦しいと思うくらい、二人に抱きしめられた。



そんな幸せな日々が壊れたのは、私が五歳のときだった。



両親が事故で死んでしまった。



それは、保育園から帰る途中だった。


三人で歩いて帰っていたんだけど、歩道に一台の車が突っ込んできた。



お母さんとお父さんは私をかばって、死んだ。


お父さんたちのおかげで、私は傷一つ残らなかったけど……



「り、ん……無事、か……?」


「どこも、痛く……ない?」



どう見たって、自分たちのほうが大怪我してるのに、両親は私の心配をし続けた。