ハルさんに言われて、目が覚めたんだ。
私は、過去を知られたくないと思ってたんじゃなくて、自分が過去と向き合いたくなかったんだって、わかったから。
「そっか。なら、ちゃんと聞くよ」
香織ちゃんがいつものように、優しく頭を撫でてくれた。
それから数分後、ハルさんの家に到着した。
美穂ちゃんが先に私の料理を食べたいって言ったから、さっき買った材料で五品作った。
それを食べている間は、誰一人私の過去の話には触れてこなかった。
ただただ、楽しい時間を過ごした。
そして食器を洗い終え、リビングにあるソファに座る。
重たい空気が流れる。
「えっと……話しても、いいですか?」
「凛のタイミングでどうぞ?」
どこから話そうとか、どうやって言おうかとか、いろいろ悩むことはあったけど、香織ちゃんがそう声をかけてくれただけで、気が楽になった。
私は用意していたコーヒーを喉に通し、話し始めた。