香織ちゃんは不安そうな顔をして、私たちから離れた。
ここに残ったのは私と、ハルさんと、山崎。
どことなく気まずい空気が流れる。
「宮原の過保護も相変わらずだな。一ノ瀬も元気そうでよかった」
気遣ったのか、山崎がそう言った。
「凛ちゃん、行こう」
私はハルさんに腕を引かれた。
山崎をその場に置き去りにして、会議室に入った。
「凛ちゃん、僕に言ってくれたよね? 自分のことを話したくなるまで、待つ。無理には聞かないって。だから、僕もそうする。凛ちゃんのタイミングで話してね」
私は頷く。
ハルさんの優しさが身に染みる。
彼なら、私の過去を受け入れてくれるかもしれない。
ううん、彼だけじゃなくて、美穂ちゃんも。
ハルさんの家に料理を作りに行ったとき、みんなに話そう。
私は密かに、そう決めた。



