秘密の交換をしよう



じゃなくて、ハルさんの言う通りだ。


今ここで参加を取り下げたら、私は過去からも、仕事からも逃げることになるんだ。



なにより、仕事に私情を挟んで、ほかの人たちに迷かけたくない。



「企画が終わるまでの辛抱だよ。それまでなるべく、僕もフォローするからさ」



元に戻ったハルさんは、優しく私の頭に手を置いた。



彼の言葉には、不思議な力があるのかもしれない。


ハルさんがあんなふうに言ってくれただけなのに、不安は本当に大きいはずなのに、平気なように思えてくるのだから。



「ごめんね、香織ちゃん。私、出来る限りのことはやってみようと思う」


「そう? 仕事熱心なのはいいけど、無理はしないでね? 結木さん、凛のことお願いします」


「言われなくても」



なんだか、いつにも増してハルさんがかっこよく見える。


紳士的というか……



私やっぱり、この人のこと、好きだ。



「じゃ、頑張ってね、凛」


「ありがとう」