「あれ、一ノ瀬? お前、一ノ瀬凛だよな?」
すると、香織ちゃんの言葉を遮るように、誰かに名前を呼ばれた。
その声を聞いた香織ちゃんの顔が、一気に真っ青になった。
私を呼んだのは、きっちりとしたスーツに身を包んでいる男の人。
「えっと……」
「俺だよ。山崎逞翔(やまさきたくと)。高二のとき同じクラスだったんだけど、覚えてない?」
高二……
山崎……
……思い出した。
私を恋愛から遠ざけた原因の一人だ。
そっか、香織ちゃんが慌ててたのも、山崎が来ることを知ったからか。
香織ちゃんは高校からの友達で、私と山崎の間になにがあったか、知ってるもん。
「……覚えてる」
そう言うだけでも、精一杯だった。
「そっか。あのときはごめんな?」
もう謝ったって遅い。
というか……



