横で一緒にパンを選んでいる香織ちゃんに、ボソッと聞かれた。
「別に?」
ハルさんの過去の話を聞いた、ってことは言わないほうがいいから、この返答が正解な気がする。
「別に? 男と女がひとつ屋根の下に一晩一緒にいて、なにもなし?」
香織ちゃんはありえないと言わんばかりに、私に疑いの目を向けてきた。
「宮原さんが思っていたようなことはなにもないですよ」
後ろから聞こえてきたために、香織ちゃんとほぼ同時に振り向いた。
そこには、私が見上げるほどの長身のハルさんが立っている。
「せっかく協力してあげたのに……結木さんってもしかして、チキンですか?」
協力って……
まさか香織ちゃんがグルだったの?
もしそうなら、多分、美穂ちゃんもグルなんだろうな……
「違いますよ。凛ちゃんに嫌われるようなことをしたくなかっただけです」
「凛ちゃん、ねぇ……」



