「これですね。どうぞ」
そういえば、提出は今日……
いや、明日のはず。
だから、今日自分で最終チェックして、提出しようと思っていたんだ。
「ありがとうございます。……あの、名前を聞いても……?」
結木さんが申し訳なさそうに訊ねた。
まだ名乗っていないし、初対面だから、名前を知らないのも当たり前だよね。
「一ノ瀬です」
「あたしは上村でーす」
すると美穂ちゃんが振り返って言った。
私と話すときよりも、笑顔のように見えるのは、気のせいだろう。
うん、きっとそう。
「一ノ瀬さんと、上村さんですね。これから、よろしくお願いしますね」
結木さんは戸惑いを一切見せず、微笑んで自分のデスクに戻った。
「あの微笑みで何人の女が落とされたんだろうね」
気にするところはそこなのね。
私はたった数時間で何度もあの微笑みを見せられて、逆に嫌いになりかけてる……



