秘密の交換をしよう



「なんで……?」


「んー……引っ越すから? とにかく、もう屋上には来られないんだ」



また、いつもみたいに誤魔化すのかよ……



「ふざけんな! 理由くらい、教えてくれたっていいだろ!?」



誰かに怒鳴るなんて、したことなかった。


ましてや、心を開いている千秋さんなんて、もってのほか。



それでも、俺は言わないでいられなかった。



「……わかった。よく聞きなよ?」



千秋さんは頭を掻き、ため息混じりに言った。



「あたしはアンタみたいなガキが大っ嫌い。二年以上もよく我慢したなって思う」



頭の中が、真っ白になった。


というか、地獄に落とされたような気分だった。



「本当の自分だっけ? 自分を偽るようになったって聞いて、コイツは本物のバカだって実感した。自分を偽る生き方がいいわけないじゃん。ただ、自分が苦しくなるだけなんだから」



もう、俺の目の前に立っている人が、誰かわからなくなるくらい、千秋さんは別人だった。



「いつまでアンタみたいなガキと付き合えばいいのかって思ったら、寮生活だって言うもんだから、こんなチャンス逃せないじゃん? これで関係が切れる。そういうわけで、アンタと会うことはもうないから。さよなら」