秘密の交換をしよう



だが、学校での俺は変わっても、家では変わらなくて、母親との関係は悪いままだった。



家に帰りたくなくて、ほぼ毎日のように通うようになったマンションの屋上。


そこには絶対、千秋さんがいる。



「美少年……どうやら君は演技が上手いらしいな」


「どういう意味?」



いつものように屋上に行ったら、千秋さんがいきなりそう言ってきた。



「美少年の噂が流れてきたんだよ。結木さんちの息子さん、雰囲気がかわったわねって」


「俺は千秋さんのアドバイス通りに動いただけだから」


「そうだね。ホントの自分は誰にも知られない。知られないようにする。そういう生き方もいいんじゃない?」


「俺の場合、千秋さんが本当の俺を知ってるから。千秋さんは? 本当の自分、隠してるの?」


「ヒミツ」



千秋さんは人差し指を口に当てた。



いつだってそうだ。


千秋さんは絶対に自分のことを話そうとはしない。



「いつか教えてくれる?」


「いつか、ね」