「どーも」
あの環境で育っていながら、礼が言えるとは、思いもよらなかった。
しかし、今それどころではない。
俺は思い当たる節を探した。
といっても、橋本が行きそうな場所など知らないが。
とりあえず廊下を歩いていたら、前から女子の集団がやって来た。
中に橋本もいる。
ナイスタイミング。
探す手間が省けた。
「希美、よくあの結木と付き合えるね」
「もしかして、ガチで好きだったりする?」
まさかの俺の話題。
ここで出るのは違うだろうと思って、空き教室に入った。
「なに言ってんの。あたしがあんな奴、好きになるわけないじゃん。ただクールで、イケメンじゃない? でもアイツが本当は優しくて、紳士的だとしたら? そうなったとき、あたしが付き合ってたら、自慢できるでしょ」
それを聞いたとき、千秋さんの言葉を思い出し、理解した。
なるほど、俺が求められてるキャラは優しくて紳士的なのか。



