そっと結木さんに差し出した。
私がいたことに驚いたけど、コップを受け取ってくれた。
水を喉に通したら、ソファーにあお向けで寝転がった。
「驚かせたね、ごめん」
「そんなことないです。大丈夫ですか?」
「凛ちゃんって、変わってるよね」
質問が綺麗に無視されたと思えば、予想外すぎる答えが返ってきた。
これは褒め言葉と捉えてもいいもの?
表情的に、悪口を言ってるとは思えないけど……
「悪い意味じゃないから。いつも自分のことを後回しに出来るなんて、すごいなってことだから。もっと自分勝手でいいのになって、会ったときから感じてた」
私がなにも言わないから、結木さんは慌ててフォローした。
自分勝手になる、か……
「だったら、結木さんこそ自分勝手にしてはどうですか? 女性に言い寄られるの、苦手なんでしょ?」
「気付いてたの?」
私の言葉に驚いたらしく、結木さんはきょとんとした表情を見せた。
「姫鈴さんに抱きつかれたとき、嫌そうな顔をしてました」
「あー……あのときか。すごいね、よく観察してる」