秘密の交換をしよう



「僕の隣は不満ですか?」



子犬のような目で見上げられた。


頼れるしっかり者だって思ってたから、こんな表情もするとは思いもしなかった……



「不満というか……」


「お待たせしましたー。凛、なに突っ立ってんの?」



迷っている間に香織ちゃんが来て、何食わぬ顔で美穂ちゃんの隣に座った。



……私に残された選択肢、一つしかないじゃないですか。



気は進まないけど、結木さんの隣に腰を下ろした。



「結木さんですよね。あたし、宮原香織です」


「はじめまして、結木です」



二人が挨拶しているだけなのに、私の心臓はこれでもかってくらい、うるさかった。


結木さんの隣にいるだけなのに、どうしてこんなに動悸が……



私は逃げるように手元にあったメニューを開く。



いつも来ているところだから、メニューなんて把握済み。


わざわざ見る必要もない。



でも、これだけ動悸がしてるなら、きっと顔が赤い。


美穂ちゃんたちになにか言われる前に、隠さないと。