「あれ?」
「皆さん、帰られてしまって」
先輩たちの姿は、どこにもなかった。
残っていたのは私たちを含めて五人くらい。
あと二人は男性社員。
「なんで……」
「結木さんの好物のオムレツの練習するんだって、意気込んでた」
美穂ちゃんが呆れながら教えてくれた。
もう、先輩たちの原動力が結木さんになってる。
「少しでも、前の部長のやり方とかを聞いておきたくて」
「でも、私たち一年……」
「もちろん、いいですよ!」
話せることなんてないから、断ろうとしたら、美穂ちゃんに遮られてしまった。
思いっきり、口を塞がれて。
「どこに行きますか?」
「僕、去年まで海外にいて、この辺には詳しくないんです。なので、お二人が好きな場所で結構ですよ。あと、僕が誘ったので、僕が奢ります」
海外って……
もし大学卒業してすぐだったら、これからだったのかな。
それなのに、姫鈴さんに呼び戻された、と。
自分のわがままで、他人の人生を変えるなんて……



