「リンリン、もう定時だけど……どうする?」
美穂ちゃんが黒い手提げ鞄を持って、私のパソコンを覗き込んだ。
「え、嘘?」
美穂ちゃんに言われて、咄嗟に腕時計を見る。
嘘じゃなかった。
六時すぎてる。
「終わったの?」
「ううん、全然。今日は残業するよ」
「それ、急ぎの仕事なの?」
「違いますよ」
わからなくて、答えに戸惑っていたら、誰かが教えてくれた。
振り向くと、結木さんが立っている。
「そうだったんですね。では、今日は切り上げます」
私は帰る支度を始める。
スマホをポケットに、ペンケースと水筒を鞄に入れるくらいしかなかったけど。
「二人はこのあと、時間ありますか? もしよかったら、飲みに行きませんか?」
どうやら、結木さんも今日は終わりらしい。
でも、結木さんから誘ったら、先輩たちが……



