仕事が終わると、翼君の家に一人で行った。
翼君の家は二階建てのアパート。
男子大学生の一人暮らしって聞いてたから、てっきり部屋が散らかってると思ってた。
だけど、翼君の部屋は綺麗に整頓されていた。
「すぐ作るので、適当に座っていてください」
翼君に言われて、部屋を見渡す。
椅子はなかったから、ローテーブルの横に正座した。
「一ノ瀬さんは苦手な食べ物は?」
「ないです」
「それはよかった。ビーフシチューが得意なんで、とりあえずそれ作りますね」
翼君は手際よく料理を開始した。
ここからだと背中しか見えないけど、無駄な動きが一切ない。
掃除もきちんと出来てるし……
もしかしなくても、翼君ってすごい家庭的な人だ。
「どうして、料理をするようになったんですか?」
男の人があんなに手際がいいってことは、昔からやってたんだろうなと思って、そう聞いたんだけど……



