秘密の交換をしよう



私は腕を引かれてエレベーターを降りた。


ハルさんは企画のほうに行くみたいで、エレベーターを降りなかった。



「部長が一ノ瀬さんの元カレですね?」


「……よくわかりましたね」


「部長が乗ってきた瞬間、一ノ瀬さんの様子がおかしかったので、簡単にわかりましたよ」



だって……


冷静に、なんて無理だもん。



「あんな完璧男が女を泣かすなんて、最低ですね」


「ハル……結木さんはなにも悪くないんです。私が、勝手に本気で結木さんを好きになって、失望させただけなので」



なんだか、自分で言ってて悲しくなってくる。



「どんな理由があっても、女を泣かすなんてありえません。泣かした時点で、最低です」



きっぱり言い切るなあ……



「佐倉君……」


「翼って呼んでください。でないと、返事しません」



佐倉君……じゃなくて、翼君は私のセリフを遮って、そう言った。