「一ノ瀬さんの彼氏、どうして別れを切り出したんでしょうね」
……ここでその話題ですか、佐倉君。
もっと違う話題があったはずなのに、どうしてテンションが下がるようなこと、わざわざ思い出させるのかな。
「仕事仲間としては好きだけど、女としては嫌いだって言われたんです。私のは、相手に気持ちを押し付けているだけだって」
もう隠しようがなかったから、半分やけで言った。
「そうだ、佐倉君。特別とか、言わないでくださいね。私、今そういうの聞きたくないので」
「……一ノ瀬さんは一目惚れを信じない人ですか?」
「人は見た目じゃ判断できませんから」
ハルさんがいい例。
あんなしっかりした人が、甘えたがりだなんて、誰が想像できるだろうか。
「なるほど。それは一理ありますね。ですが、僕は一ノ瀬さんに一目惚れしました。よかったら、僕と恋愛しませんか?」
佐倉君は真面目な顔で見つめてくる。
メガネの奥にある瞳は真剣そのものだ。
「……考えておきます」
「その気がないなら、僕本気を出します。絶対、僕じゃないといけないと思わせてみせますから」



