「それはなにに対して?」
「いろいろ。香織ちゃんがいなかったら、私……」
「やめてよ。あたしが凛の笑顔が見たくて勝手にやってることだし。あたしさ、凛の泣き顔がこの世で一番大嫌いなんだよね。だから、笑顔を見せてよ。心からの、凛の笑顔」
料理を並べ終えた香織ちゃんは、私の頭を撫でた。
「香織だけじゃないからね、リンリン。あたしだって、リンリンの泣き顔なんて見たくないもん」
後ろから美穂ちゃんの声がして、振り返る。
「私も、二人の前では笑顔でいたいな」
昨日の涙が嘘のように、私は笑顔になれた。
「さ、香織特製の朝ごはんを食べて行こ」
美穂ちゃんがローテーブルのそばに座ると、私と香織ちゃんもそれにつられるかのように座った。
食事を終えると、三人揃って会社に向かった。
「そう言えば、あたしたちの部署、バイトの大学生が入ったんだ」
電車を待っていたら、美穂ちゃんが楽しそうに報告した。
「佐倉翼君っていってね、これまたイケメンなんだよー。結木さんといい勝負!」



