でも生憎、午前中進まなかった私は残業。
あんなに騒がしかった会議室も、今は嘘のように静まり返っている。
仕事があるからいいものの、広い会議室に一人というのも、なんだか寂しい。
「お疲れ」
後ろから手が伸びてきて、私のパソコンの横に、栄養ドリンクが置かれる。
驚いて振り向くと、会いたかった人が、優しい笑顔をして立っていた。
「ハル……結木さん。ありがとうございます」
会社内だというのに、ハルさんが来てくれたことが嬉しくて、ついいつものように呼んでしまいそうになった。
「今日、ごめんな? 凛に辛い思いをさせるつもりで、姫鈴ちゃんにあんなふうに言ったわけじゃないから」
ハルさんは私の横に座る。
表情は真剣そのもので、不思議と笑いがこみ上げてくる。
「わかってます」
さっきまで寂しいとか思っていたのに、ハルさんが来るだけでこんなに変わるなんて……
我ながら単純だな。
「なあ、凛。ここに俺と凛しかいないって、わかってるか?」



