「俺、お前の仕返し楽しみにしてたんだけど」
「らしいね。だから、なにもしなかったって言えるかも」
「どういう意味だ」
「私はアンタが喜ぶようなことをしたくない。アンタが仕返しを楽しみにするなら、絶対にしない」
そう言った途端、山崎が口角を上げた。
それを見て、なぜか背筋が凍った。
「俺が喜ぶことをしないのか。なら、俺の願望を先に言ってやろう。今からお前を襲う。俺はお前の悲鳴や嫌がる顔が見たい」
返す言葉もなかった。
山崎が一歩踏み出せば、私は一歩下がる。
でも、とうとう壁に追い詰められた。
「いい顔だ。さあ、そのまま泣き喚け。言っとくが、今日は邪魔が入らねぇからな」
その言葉と同時に、山崎がキスをしてきた。
この前と違って、舌を入れられた。
山崎の望み通りにしてしまうのは嫌だったけど、これ以上されるがままのほうが嫌だった。
だから、山崎の体を押し、遠ざけた。
これでもかってくらい、唇を拭う。
すると、一筋の涙が頬を伝った。
唇を拭っていたその手で、涙も拭う。
そして、気持ち悪い笑みを浮かべている山崎を睨みつけた。



