香織ちゃんに声をかけられて、自分が泣いていることに気付いた。
嫌なことじゃなくて、お父さんたちのことを思い出したから、泣いてしまったのだ。
「ううん、平気。山崎は?」
空き教室には、私と香織ちゃん以外の影が見当たらなかった。
「帰ったよ。凛の仕返し、楽しみにしてるって」
「そうなんだ……あのさ、香織ちゃん。なにがあっても、私の味方でいてくれる?」
「なに、今さら当たり前なこと言ってんの? あたしはずっと、アンタの味方だよ」
それを聞いて、私は香織ちゃんの力を借りようと決めた。
お母さんが、お父さんに助けを求めるように。
香織ちゃんの部屋で、空き教室で聞いた山崎の話を伝えた。
「ふーん。で、どうするつもり?」
「なにもしない。山崎は仕返しを期待してるんだろうけど、私はそんなことしない。というか、山崎に近付きたくない」
「そりゃそうだ。あんなことされといて、近付こうなんて思わないか。あー、もっと早く突入すればよかった」
香織ちゃんが言う、あんなことっていうのは襲われかけたってことだろうな。
だって、私がキスされたなんて、知らないから。



