そんなわけない。
だって、香織ちゃんは……
「いやー、一ノ瀬、全然気付かないんだから、からかいがいがあったよ。宮原も楽しんでただろうな」
違う……
絶対に、演技なんかじゃない……
「俺のために動きたいっていう女子が多くてさ。なら、使おっかなーっと。一ノ瀬凛という可愛い子を、俺の恋人にするための道具として」
香織ちゃんが演技で私に接しているとか、どうでもよくなるくらい、山崎の言動が許せなかった。
山崎は、自分を慕ってくれる女子を道具と言った。
「女子は道具なんかじゃない!」
「そう言われてもなぁ。使ったもんはしょうがなくね? 女子は俺のために動けて幸せ。俺は一ノ瀬と付き合えて幸せ。誰がどう考えたって、ハッピーエンドじゃねーか」
私が山崎と付き合う?
「私、付き合うなんて言ってない……」
「そうだっけ? でもさ……」
山崎はそっと自分の唇を私の唇に合わせた。



