千紗都、というのが香織ちゃんのお姉さんの名前だった。
「はい。本当にすみません」
「凛ちゃん。こういうときは、ありがとうって言ってほしいな」
「ありがとう、ございます」
なれない感謝の言葉を使って、無償に照れくさくなった。
夏休みが終わるころには、私はすっかり宮原家の一員のようになっていた。
だから、いじめのことを忘れていた。
それくらい、楽しかったんだ。
でも、二学期になって学校に行くと、現実に戻された。
いじめは続いてた。
それでも一学期と似たようなものが多くて、我慢程度でどうにかなっていた。
今までと違って、家事がなくて休む時間はあった。
だけど疲れがすべて取れたわけではなかった。
また疲れが溜まってきたころ、私は空き教室に呼び出された。
呼び出したのは、山崎。
行く気はなかったけど、香織ちゃんに、決着つけてこいって言われたから、仕方なく行くことにした。
もちろん、香織ちゃんは空き教室の前の廊下にいる。



