「あたしの家に行こ」
香織ちゃんは私の断る声も聞かず、どんどん足を進めた。
「あたしには姉がいるんだけど、もう社会人になって家出たんだよね。だから、その部屋が使えると思う。どんな喧嘩したか知らないけど、気が済むまでいればいいよ」
香織ちゃんは私の嘘を、信じて疑わなかった。
それは、ますます私に罪悪感を感じさせた。
香織ちゃんの家は、一軒家だった。
ご両親は私を快く受け入れてくれた。
今まで笑顔で家に招き入れてもらったことがなかったから、とても嬉しかった。
「話は香織に聞いたよ。どれだけいてくれても構わないからね」
香織ちゃんの父親、聡さんが、まるで娘と言わんばかりに頭を撫でてくれた。
「あの……」
その夜、香織ちゃんが塾に行って、家に三人しかいなかった。
私は、二人にだけは、家出ではないことを話しておこうと思った。
「どうした?」



