秘密の交換をしよう



きっかけは、一緒に当番になった、というありがちなことだった。



「一ノ瀬。俺、日誌書くの嫌だからさ、任せていい? ほかの仕事はなるべくやるし」


「あ、はい」



私としても、この提案はありがたかった。


放課後とかの仕事は極力避けたかったから。



山崎は宣言通り、日誌以外の仕事をほとんどこなしてくれた。



そして、一週間の当番が終わっても、山崎は私に話しかけてきていた。



「一ノ瀬って可愛いよね」


「そんなことないです」


「俺、好きになりそうだなー」



放課後から夜にかけて、ほぼ毎日のようにバイトをしていたから、休み時間は予習などの勉強に費やしていた。


だから、正直山崎のこの行動は鬱陶しかった。



それでも文句を言わなかったのは、お母さんたちの教えがあったからだ。



彼に素直にそう言ってしまうのは、胸を張っていいことだ、とは言い切れないように思ったから。