だが、そこには洋式の便器がひとつ据えられているだけだった。
「……居ない」
と呟きながら、真湖が前に出たとき、勝手にトイレの蓋が開いた。
わっ、と叫んで雅喜の腕をつかんだまま、後退したので、雅喜も一緒によろけてしまう。
なんとか踏みとどまった雅喜は、真湖を支えながら、
「莫迦かっ。
お前が前に出たから開いただけだろっ」
と叫ぶ。
宿のトイレも、真湖たちのマンションと同じく、すべてがセンサーで感知して動くものだった。
「なにかの弾みで、便座が上がったんじゃないのか?
便座が上がると、しばらくして、水が流れたりするからな」
そ、それはそうなんですが。
じゃあ、そもそもなんで便座が上がったんでしょうね、と思っていたのだが、雅喜はもう面倒臭くなったらしく、
「ほら、行くぞ」
と急かしてくる。
「早くしろ。
帯、自分じゃ結べないんだろうが」
と言われ、トイレを振り返りながらも、真湖は、はーい、とその場を後にした。
「……居ない」
と呟きながら、真湖が前に出たとき、勝手にトイレの蓋が開いた。
わっ、と叫んで雅喜の腕をつかんだまま、後退したので、雅喜も一緒によろけてしまう。
なんとか踏みとどまった雅喜は、真湖を支えながら、
「莫迦かっ。
お前が前に出たから開いただけだろっ」
と叫ぶ。
宿のトイレも、真湖たちのマンションと同じく、すべてがセンサーで感知して動くものだった。
「なにかの弾みで、便座が上がったんじゃないのか?
便座が上がると、しばらくして、水が流れたりするからな」
そ、それはそうなんですが。
じゃあ、そもそもなんで便座が上がったんでしょうね、と思っていたのだが、雅喜はもう面倒臭くなったらしく、
「ほら、行くぞ」
と急かしてくる。
「早くしろ。
帯、自分じゃ結べないんだろうが」
と言われ、トイレを振り返りながらも、真湖は、はーい、とその場を後にした。



