課長の瞳で凍死します ~伊勢編~

 思わず、雅喜の腕をつかむ。

「こ、この部屋、他に誰か居ますっ」

「……仲居さんじゃないのか?」

「寝てるのに、勝手に部屋に入ってきますか?
 勝手に入ってきて、トイレに行きますか?」

 腕をつかんだまま、畳みかけるように言うと、半身を起こした雅喜は浴衣を羽織りながら、
「わかった、
 俺が見てこよう」
と言う。

「待ってくださいっ。
 殺されますっ」
と真湖は浴衣の裾をつかんだ。

 雅喜がつんのめる。

 さーわーだーっ、と振り返った雅喜は、
「殺されるって、誰にだっ?」
と訊いてくる。

「な、仲居さんに?」

 今の話の流れだとそうなってしまうのだが。