課長の瞳で凍死します ~伊勢編~

「このまま課長と居させてください。
 課長が私のこと、ずっと好きで居てくれますように」

 そう祈った。

「あ、いえ。
 今、課長が私のことを好きかどうかはわからないんですが」
と照れたように呟くと、くるりと振り向いた雅喜が、

「いやお前、結婚しといて、好きじゃないとかないだろう」
と言ってくる。

「い、勢いに流されただけかもしれません」

「何処に勢いがあった?」

 ある意味あったが、それは同居とか、婚約とか、形式的なことばかりで。

 二人の心の関係は、確かに、なかなか進まなかったかもしれない。

 あのー、課長。
 本当に私のこと好きですか?

 今でもなんだか信じられないんですが……。

 そんなことを思いながら、ちらと上目遣いに雅喜を見たとき、突然、トイレから水の流れる音がした。