課長の瞳で凍死します ~伊勢編~

「例え新婚旅行と言えど、俺はお前と一晩寝る自信はないな」

「なんでですか……」
と言いはしたのだが、その理由はわかる気がした。

 寝相の悪い真湖に蹴り落とされると思っているのだろう。

 ……もしかして、今も知らない間に課長を蹴り落とし、這い上がってきたところだったのかもしれない。

「昼間」
と雅喜が口を開いた。

「なにを祈ってたんだ?」

「内緒です。
 口に出すと叶わなくなるとか言わないですか?」

「……言わないな」
と言ったあと、なにも追求せずに、背を向けてしまう。

 あのー、課長。
 ほんとに私に興味がありますか?

 随分と素っ気なく思えるのですが。

 まあ、いつものことですが、と思ってちょっと笑ったあとで、真湖はその背に手で触れ、頭を寄せる。