「田吾作のくせに」 私の後ろにいた友江からいつもの冷たい声が聞こえる。 「田吾作のくせに、心配かけされるんじゃないわよ」 後ろを振り向き、友江の方を見れば声とは裏腹に今にも泣きそうな表情でこちらを......いや、正確にはノエルをただ真っ直ぐ見つめる友江がいた。 「悪かった、友江」 そんな友江に優しく微笑みながらノエルが右手を友江に差し伸べる。 こっちへおいで......と。 スッ 珍しく素直にその手を取り、友江は両手で優しくノエルの手を握りしめた。 もう、離さないというように。