「それで…当日なんだけどさ、姫野さんの誕生日会が始まる5時までは、俺と付き合ってくれないかな?」


「あ、うん。それはもちろんっ」


「姫野さんに紹介したい人がいるからさ」


「…紹介したい人?」


「当日のお楽しみね」


黒川くんはそう言うと、ほんの少しだけ悲しそうな笑顔を向けた。


紹介したい人って…。

一体誰なんだろう。


もしかして…黒川くんのお母さんとか?



そう考えてると、急に心臓が緊張でドキドキしだす。


誕生日ってすごくワクワクするはずなのに。
今年はなんだか、たくさんの不安が一気に押し寄せてきたな…。


とりあえず今は…。


何があっても、黒川くんの手を離さないと。


強く心に決めておこう。



「楽しもうね、当日」


黒川くんのそのセリフに頷いて、私は黒川くんの手をギュッと握った。