黒 桜

「ほお。やはり一筋縄では行かなかったか」




「やっぱりあなた、長州の間者ね!」



私は太腿に取り付けた鞘から短刀を取り出して構えた。

近くの店の裏で私達は話しているから総司はまだ気がついてない。




「そうじゃよ?年寄りじゃが、ちゃんと動くんでな。かなり前からこの町で新選組の動きを見ておった。沖田 総司と出会った時は奇跡かと思ったさ」




「人を利用するなんてあり得ない」




非道の悪だ…長州は。





「さて、貴様、自分が今どこにいるのかわかっているのか?」




「なんですって…?」




「お前は俺ばかりを責められやしないさ。だってお前も長州の間者なんじゃからな」




「私が…長州の間者…?何馬鹿なこと言ってるの?立場をわきまえて」