黒 桜

あの口づけ以来、誰かさんが池に落ちて風邪を引いたからまともに話してなかったんだよなぁ。




「風邪は?」



「平気。今日は休み?」



「休み」



「どっか遊びに行きやす?」



「え!?いいの!?」




総司は私の無邪気な顔を見て笑顔になった。




「どこ行きたい?」



「外…町並みを見てみたい。この辺りは一回も行ったことがないの!」



「んじゃあ、決まりですね。行きまっせ?」




総司は私の手をぎゅっと握って屋敷内を走りだした。




「おい、総司!桜女!走るな!」


「仲が良くて結構なことじゃないか!」