黒 桜

桜女は一時期、俺が頭を撫でることを嫌っていた時があった。


『私を小さな子供だと思って撫でるんでしょ！？やめてよね！そういうの！』


桜女はそう言うが、頭を撫でるなんて余程好きに奴にじゃないと俺は絶対にしない。




「沖田さん？なんで泣いてるんですか？」




桜女は人差し指で俺の涙を拭った。




「桜女…ごめん。俺はほんと、最低だった。なんで桜女を苦しめたんだろうって辛かった。ごめん…信じてやれなくて…」




「そのこと？もういいですよ。誰も悪くないんだもん。それよりも…私の人を切る姿見たのに連れて来てくれたんでしょう？なんで？」




「たとえあんな桜女を見たとしても…桜女はそれだけ、新選組に必要とされてるってことでさぁ。近藤さんはどんな桜女でも迎え入れるって言ってやした。

みんなついてきてくれるんでっせ」




桜女はもう一度、俺に笑ってくれるのだろうか。




「ついてきてくれるって？例えば誰が？」