黒 桜

「新選組一番組組長の沖田 総司さん?」




「ああ、知られてやしたか」



最近有名だものね。
知ってるに決まってる。






「んで、こっからは新選組の沖田として聞きやすが…その腿に取り付けた刀はなんですかい?」





まあ、確かにこんなに密着している状態で私の太腿に取り付けた短刀に気が付かないはずがない。

新選組ならなおさら…。




私は鞘から短刀を取り出して沖田さんに見せた。





「護身用です…。私のような汚れた人が歩いていれば変な輩から狙われて叩かれたり殴られたり…これは逃げるための道具です」




沖田さん、ごめんなさい。
今のは半分本当で半分嘘なのです。




私は今、人を切ることでしか生きていけないからこの短刀が必要なのです。