「あーん。今日に限ってみーんなお風邪なんてぇ」




あの日、泣き疲れて眠った私の側にずっと沖田さんは居てくれた。

でもそのおかげで沖田さんと目が合うと泣いたことの恥ずかしさと自分の恋心が押し上げてきてつい、目を逸らしてしまう。




今日は沖田さんの生誕日…というのにあれから全然話していない。





「そうですね。でも仕方ないです。二人でやりましょう」




沖田さんの生誕日だというのに仕組まれたように私と椿さん以外の女中さんは風邪になりお部屋で休んでいる。



まあ、今日ぐらいはやってくれるよね…。





「ねぇ、桜女ちゃん」




昼が過ぎ、夕方の宴の準備をしている私に上目遣いをしてくる椿がやってきた。




「私ぃ、これからぁ、沖田さんと街に出歩くのぉ。生誕日だから!って言ったらいいよって言ってくれてぇ!気があるってことですよね!?」