黒 桜

旅人は立ち上がって帽子の固く縛られた紐を取った。




「ちょっと待ってくださいね…きゃっ!」





その時だった。



桜女が消えた時とおんなじような風が吹いた。

桜なんて咲いてるはずのない季節なのに桜が舞っていた。



その風は旅人の帽子を吹き飛ばすくらい強かった。だから俺も目を瞑った。




「総司!」



懐かしい声が聞こえてきて幻聴かと思いながら目を開けた。





「お、うめ?」




そこには俺の愛おしい人…桜女がいた。





「見間違え?本物?桜女…?」