黒 桜

「なんでそんなこと…言うんだ…」



「わかんない…」




俺は手を離して立ち上がった。




「俺は桜女のことが好きなんだよ!そんなこと言わねぇでくだせぇよ…俺は相談もせず身勝手に桜女に別れを告げた。こんなこと言える権利はねぇけど…好きなんだよ」




桜女はしゃがみこんだ俺を見つめていた。




「身勝手でもなんでもないよ。総司の優しさ。私は知ってる。ありがとう」





なんで桜女はそんなもう会えないような顔をするんだろうか。さよならみたいな顔をするんだろう。



「桜女…どこにも行くなよ…。桜女は裏切ってなんかないんだから…」




「記憶がなかったとはいえ、私が長州の者だってことは確かなの」




「みんな桜女を探してる。山南さんも藤堂さんも斎藤さんも…椿さんも麻生さんも…」