黒 桜

「土方さん…喋っちゃったんだ」



「ああ。俺が脅して無理矢理聞いた」




俺は桜女に背中を向けて鉄格子に寄りかかって座った。

桜女も俺に背中を向けてそうした。





「ごめん」



「謝ることなんてないよ…体調は平気?」



「お陰様で」




俺は桜女の過去を知った。
親が殺されたこと長州に裏切られていたこと、毎日暴力を受けてたりしたこと…

だから初めて出会った時、あんなにぼろぼろだったんだ。





「桜女。俺は病だった。俺の姉は病で死んだ。そんとき残された俺は苦しかった。桜女にそんな苦しさをもう与えたくないって思った」



「…馬鹿だなぁ。人はね、いつかは死ぬの。私だっていつ死ぬかわからない。殺されるかわからない」