黒 桜

長州の屋敷から京へ向かうという日。
私は逃げ出した。



新選組は誠を背負うもの。


そんな優しくて正しい人を殺させるわけにはいかなかった。



そして私自身ももう殺しに関わりたくなかった。


走った。
遠くまで逃げた。




そして私は何故かあの桜の木についた。




初めて見たはずなのに一目見て懐かしい気持ちになった。





夜に光り輝く桜。


真っ暗な光。




黒桜と。





私は登った。



しばらくずっとそこにいた。