黒 桜

見てすぐにわかった。
もう彼らは死んでしまったと。



その彼らが山崎さんの家族だったんだ。




全員救えなかった…。




その時だ。
私の腕を自分の刀で刺したのは。


助けられなくて苦しくて辛くてこんな自分を誰かに殺して欲しくて刺したんだ。




何度も死のうとしたのに頭を横切るのはお母さんの生きてという言葉。




そして三年後、命令が出た。





『新選組に間者として入れ。新選組の屋敷の近くで月を見て記憶を忘れるんだ。そしてうまく潜り込め。次の赤い満月が来てから二週間後、指定した場所へ来い』




記憶をなくせば私と長州との縁は切れる。
それを利用すれば長州と危険性のない私が完成する。

新選組は心優しいから私のような奴は拾ってくれる。



奴らは私の力と新選組の優しさを利用しようとしていた。