黒 桜

長州は私のそんな姿が好きだったんだ。
幼かった私が苦しみ、もがく姿が…。



そして三年前、あの村を襲った。

山の麓にいた男達は長州の奴らが村人に化けた奴らだった。


私は関係のない村を襲わせないために奴らを殺した。



死んではいたが、私の血で傷だけは治した。




傷は治っても失われた命は絶対に戻らない。




『た、すけて…』



先に山に入った奴らにばれないように別の道を通って私はむらにたどり着いた。



川には半殺しにされていた子供や親達が倒れていて私は静かに彼らを助けた。




一番酷かったのが健太くんだ。
子供なのに顔は殴られたようだったし刀で何回も切られたようだった。


生きているのが不思議だった。




『ぼ、く…生きてるの?』