黒 桜

そして俺はふと気がついた。
女は山奥に向かうと言っていた…。


山奥には俺の家と数個の家しかなく、家を訪ねる以外は何もできない森だ。 




あの女の目的はどこかの家なのだ。



そう思うとさっきの寒気が走る笑顔を思い出した。




あいつはやばい…みんな殺される!





俺は裏道を通ってあの女よりも早く着くはずだった。


でも遅かった。




数個の家からは煙が立ち、血の匂いが俺を苛立たせた。




『お袋!親爺!』




家に入ると囲炉裏の周りで血を流す親を見つけた。


もうすでに遅かったんだ。




俺は怒りと復讐に燃えて刀を取り出して外に出た。


すると、そこには女ではなく血をつけた刀を持つ男達がいた。