黒 桜

「貴様、料理やらなんやらできると?」




私はうなずいた。

その時、沖田さんがほっとした様子を見せたのは気のせいだっただろうか。




「ふむ…ちょうど女中が一人親が病気だとで故郷に帰ったところだ。よかろう。桜女と言ったか?」




「はい」




「よし。今日から住み込みで働くがいい。帰った女中の部屋が片付け次第そこに住め。そうだな…それまでは拾ってきた総司に頼むか」




「あ、承知しました」




それからは新選組の人々と自己紹介を交わしたが、私の印象に残ったものは少なかった。





「あー、新しい着物用意したんすけど…もちろん着替えます…よね?」