何故かこの桜は…夜になると咲いて光り輝く。




とても綺麗だけど、
夜にしか咲かない儚いもの。



この世は残酷という簡単な二文字で出来ている。




今日も夜に鳴り響く…小さな爆音。





「黒桜…」





夜にだけ咲くからと私が勝手につけた黒桜という名前。


もう少しまともなものはなかったのかと思う時もあるが、変えようだなんて思わない。




なんだかんだで気に入っている。




「この着物もぼろぼろか…」




桃色の桜が描かれた少しお高い着物は切り跡がいっぱいだし、赤い染みも茶色の汚れも付いている。