ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

魔人ソフィアは高笑いをあげながら、重い一撃をザハラに打ち込んでいく。

「あはははは! ふふっ……あははは!」

そしてそのままザハラの腕を掴むと、彼女の体を力強く地面へと叩きつけた。

「うぐっ!」

「ザハラ様!」
 
魔人ソフィアは黒い翼を使って空を飛び、闘技場全体を見渡せる位置まで行くと、左手を頭上にかざした。

「今直ぐ楽にしてあげる」
 
そう言ってニヤリと笑みを浮かべるソフィアの表情に、俺の体は鳥肌が立った。

「ソフィア! やめろ! ソフィア!!」
 
何度もソフィアの名前を呼んでいるのに、今の彼女に俺の声は届かないのか!?

「……こんなところで」

俺は腕に力を込める。

「こんなところで! ソフィアを失ってたまるかぁぁぁぁ!!!」
 
そう力強く叫んだ時、俺の瞳が紅く染まり上がる。

腕に力を込めて手枷を外そうと踏ん張った。

すると手足を拘束していた手枷にヒビが入ると、それは粉々になって辺りに飛び散った。

「す、すごい……」
 
俺はそのまま地面へと下り立ち、ソフィアの元へ急いで向かった。

「やめるんだ! ソフィア!!」
 
しかし彼女の目に俺の姿は映らないのか、頭上に手をかざしているソフィアは詠唱を始める。

「暗黒の世界より来たれる闇の精霊よ、黒の精霊よ、この者に永遠なる闇を与え給え」

「ソフィア!!!」
 
ソフィアはニヤリと笑うと、かざしていた左手を振り下ろして叫んだ。

「永遠なる闇の中へと誘われよ、永遠の闇(エターナルホンセ)!!」
 
黒く大きな黒玉がソフィアの頭上に作り出されると、それはザハラ目掛けて降り注がれた。

そんな中、俺はザハラの前に立った。
 
その姿にようやく気づいたソフィアは、焦った顔を浮かべた。