ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

闘技場の下から上がってきた物、それは木の板に貼り付けにされたアレスたちの姿だった。

「アレス……カレン……ロキ!」
 
三人には意識がないのか、目を閉じてしまっている。

そんな三人の姿を見て、私の中に黒い感情が芽生え始めた。

「この方々を殺されたくなければ、私と戦って下さい」

「どうしてそこまで、私と戦う事に拘るの! 私は戦わないって言っているのに!」

「先程も申したはずです。これは我々の悲願のために必要なことなのです」

「……そんな」
 
私は目に涙を浮かべて三人の姿を瞳に映す。

このまま私が戦わなかったらみんなは……。
 
脳裏に三人と一緒に過ごした記憶が過り、私は覚悟を決めて拳に力を込めた。

「分かった……あなたと戦う」
 
そう呟く私はザハラをじっと見る。

「私があなたに力を示せば良いんでしょ?」

「そうです」
 
ザハラも背中に背負っている鞘から剣を抜き、背中の翼を大きく広げた。

「一発で決めてみせる!」
 
私は空に向かって手をかざす。
 
ごめん……アレス、カレン。

みんなを守る為に私は……魔法を使うよ!

「夜空に浮かぶあまねく星々よ、その輝きを一つの力と変え、数多の流星を降らせよ! 流星の雨(メテオレイン)!」
 
空に流星の雨が流れ始めると、それはザハラに狙いを定めて降り注がれる。

「これはなかなか……しかし」
 
ザハラは持っていた剣を構えると、自分に降り注がれる流星の雨を、一刀両断で全て粉砕した。

「そ、そんな!」
 
粉砕された流星の雨は、砂のように辺りに飛び散る。

「少し……がっかりです」

「くっ!」
 
今ので魔力を半分もっていかれてしまい視界が歪み始める。

でも……こんなところで倒れるわけには行かない! みんなを助けるんだ!
 
私はザハラに左手をかざす。