「なっ!」

「いきなり何だよ?!」
 
私たちが反撃する瞬間を与えずに、竜人族は私たちを取り囲んだ。

その中の数人が私をアレスから引き離す。

「あ、アレス!」

「ソフィア!」
 
アレスの手が私の方へと伸びる。

その伸ばされた手を掴もうとした時、代わりにザハラの手が私の手首を力強く掴んだ。

「いたっ!」
 
ザハラは鋭い目を浮かべながら、アレスたちへと目を戻した。

「ザハラ! これはどういうことだ!」

「どういうこと……ですか? そんなの決まっています」
 
ザハラは背中に背負っている鞘から剣を抜くと、その切先を私の喉元へと突き立てた。

「この者が本当に、私たち竜人族が仕えるのに値する存在なのかどうか、見極める必要があるのです!」
 
彼女の言葉にみんなは目を丸くした。

「……っ」

私はザハラが何を言っているのか理解出来なかった。

私を見極める? 仕えるのに値する存在? 一体どういう意味なの?!

「おい、アレス! このままじゃまずいぞ!」

「くっ……カレン!」
 
アレスの叫び声に頷いたカレンは、体から冷気を発し拘束している竜人族たちを凍らせようと試みる。

しかし――

「無駄ですよ」
 
するとさっき慌てて家を飛び出して行ったヨルンが、素手の状態で魔剣サファイアをカレンから奪い取った。

「なっ!」
 
その光景にカレンは目を丸くした。

「残念ですが、あなたの魔剣の力が働くことはありませんよ」

「ど、どういう意味ですか?! サファイアの力が働かないなんて……そんなこと!」

「それはあなたが一番分かっているんじゃないですか?」

「っ!」
 
ヨルンの言葉にカレンは、とても怯えたような表情を浮かべた。

その顔を見たロキは目を見張る。

「おい……待てよ」
 
ロキは怒りで体を震わせると、ヨルンに向かって叫んだ。