ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

「よぉ、ザハラ。今帰ったのか？」

「ザハラお姉ちゃん。一緒に遊ぼうよ？」

「ザハラ様。ちょうど採れたての果実がございまして」
　
村の人たちはみんな心からザハラを慕っているのか、笑顔を浮かべながら彼女に声を掛けている。

そんな竜人族たちの姿を、私たちは笑顔を浮かべて見守っていた。
　
やっぱり彼女は悪い人じゃないんだ。

だって彼女はこんなにも、村の人たちから慕われているのだから。
　
そう思って空を見上げた時、村の丘の上に遺跡らしき物がちらっと目に入った。

「遺跡？」
　
あんなところに遺跡があるなんて……。もしかして竜はあそこに居たのだろうか？

「ソフィア。俺たちも行くぞ」

「う、うん！」
　
アレスたちの背中を追いかけた私は、少し気になった遺跡をもう一度見上げ、ザハラたちへと視線を戻したのだった。