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ムーンに村まで送ってもらった私は、大人たちにバレないように真っ直ぐ家に向かって走っていた。
今日出会った狼人族の人、ムーンはもう自分は狼人族ではないと言っていた。
それは私が綺麗だと言った瞳が原だから。
でも私はこの村で、黄緑色の瞳を持って生まれた狼人族の話を聞いたことがない。ましてやそれを、異端児だと言う事も聞いたことがなかった。
いったいどうしてだろう？
「ねえ、そこの君」
「ひっ！」
家が直ぐ目の前に見えたところで、ある人物に声を掛けられて私の肩が上がった。
そして恐る恐る声がした方へと視線を送ると、暗い森の奥からフードを被った人物が姿を現した。
しかし匂いからして兎人族ではないと分かり、私は少し警戒しながら口を開いた。
「あ、の……あなたは？」
「ん？ 俺か？ 俺はただの通りすがりの旅人さ」
そう言って彼は被っていたフードをおろした。
フードの中から金髪の美青年が現れ、整った顔立ちに私は思わず見惚れてしまった。
優しく細められる緑色の瞳の中に私の姿が映り、彼は私に質問してくる。
「急で申し訳ないんだど、今直ぐこの村の長に会いたいんだ」
「……フォルティス様にですか？」
「そう、そのフォルティスに」
彼はそう言うと優しくにっこりと笑った。しかし私はその笑顔を一瞬、怖いと思ってしまった。
何を考えているのか分からない笑顔、絶対に自分の内を見せないように振る舞う、彼の優しいつくられた笑顔……。
さっきのムーンの笑顔とはまったく違った雰囲気を感じて、怖くなった私は後退った。
そのことに気がついた彼は、そっと息を吐くと右目に巻かれた包帯に手をかける。
「はあ……まったく、女の子にはよく嫌われるようになったものだ。昔はそうじゃなくて、結構モテていた方なんだけどな」
ムーンに村まで送ってもらった私は、大人たちにバレないように真っ直ぐ家に向かって走っていた。
今日出会った狼人族の人、ムーンはもう自分は狼人族ではないと言っていた。
それは私が綺麗だと言った瞳が原だから。
でも私はこの村で、黄緑色の瞳を持って生まれた狼人族の話を聞いたことがない。ましてやそれを、異端児だと言う事も聞いたことがなかった。
いったいどうしてだろう？
「ねえ、そこの君」
「ひっ！」
家が直ぐ目の前に見えたところで、ある人物に声を掛けられて私の肩が上がった。
そして恐る恐る声がした方へと視線を送ると、暗い森の奥からフードを被った人物が姿を現した。
しかし匂いからして兎人族ではないと分かり、私は少し警戒しながら口を開いた。
「あ、の……あなたは？」
「ん？ 俺か？ 俺はただの通りすがりの旅人さ」
そう言って彼は被っていたフードをおろした。
フードの中から金髪の美青年が現れ、整った顔立ちに私は思わず見惚れてしまった。
優しく細められる緑色の瞳の中に私の姿が映り、彼は私に質問してくる。
「急で申し訳ないんだど、今直ぐこの村の長に会いたいんだ」
「……フォルティス様にですか？」
「そう、そのフォルティスに」
彼はそう言うと優しくにっこりと笑った。しかし私はその笑顔を一瞬、怖いと思ってしまった。
何を考えているのか分からない笑顔、絶対に自分の内を見せないように振る舞う、彼の優しいつくられた笑顔……。
さっきのムーンの笑顔とはまったく違った雰囲気を感じて、怖くなった私は後退った。
そのことに気がついた彼は、そっと息を吐くと右目に巻かれた包帯に手をかける。
「はあ……まったく、女の子にはよく嫌われるようになったものだ。昔はそうじゃなくて、結構モテていた方なんだけどな」
